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相部屋ファンタジー【ネムルバカ】 

ネムルバカ (リュウコミックス)ネムルバカ (リュウコミックス)
(2008/03/19)
石黒 正数

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「かくして」

「先輩は」

「失踪を遂げる」


プロミュージシャンを目指す女子大生・鯨井ルカと相部屋の後輩、入巣由美の日常を書いた漫画。

裏表紙には「ぐるぐる回る青春のアレやコレやを描いた大学生日常ストーリー」とあるけれど、

実際に、大学にいるシーンというのはほとんど出てこない。
サボりやサークルといった話もほとんど出てこない。

そしてルカと由美が住むのはトイレ・風呂共同の女子寮。相部屋も強制。
ルームメイトなんて小洒落たものではなく、相部屋。

今時の大学生はもちろん、こんな日常を送ってはいない。
ある意味とてもファンタジー的。


でも、この作品にはとても親近感を感じる。
その親近感を感じる部分というのは登場人物の脳内。


「そんな三文ドラマーみたいな出会いをしてぇなら根っこから変わらんとだめだ」
「浮世離れした・・・ポップアートみたいな部屋に住もうかな」
「こんなこんな古いテレビとかおいてな!」
(第3話ジキューセン)


「おメーはねーのかよ?」
「いや~わたし、何やりたいんだろ?」

「最近はまわりに情報が多すぎて、自分レベルの人間がどの地位どまりか早い段階でみえちゃうんですよ」
(第5話チテイジン)


ゆるゆると過ぎる大学生が持つ時に深刻に、時に軽く考える
「このままでいいのか」(いや、でもこのままだ)
っていう危機感やら諦観。
ここにすごく共感。

そして、それはグラウンドやら夕日が射す放課後の教室ではなくて、
居酒屋でビールを飲みながら、海辺でアンパンを食べながら(アンパンを食べながらがみそ)
行われる。


この辺りは、長嶋有の「夕子ちゃんの近道」や「ジャージの二人」にも通じるものがある。
古道具屋の2階に居候や、軽井沢の山荘で過ごしたり・・・は一種ファンタジーなのだけど、

「ドイツ製の電動歯ブラシ」から「畳に落ちた歯磨き粉」を使おうか悩んだり、
「軽井沢の別荘」で「爪切りのサビつき」にぼやいたり、
そしてその環境の中で思うことは僕らが普段考えているのに、言語化していないこと。

薄いファンタジーと分厚い現実のレイヤーが延々と重ねられてるイメージ。


「ネムルバカ」の更に好きなところは、
小説的な表現と映像的な表現、そして漫画的な表現がいい塩梅に入り交じってるとこ。
生きる目的があるルカが目的がないという後輩に
「お前らみんな意味わかんねぇ」という言葉を投げかけるとき
後輩は地底人の姿で描かれる。

それに対して後輩が反論するとルカは宇宙人として描かれる。

特に好きな比喩は
先輩と自分の社会への関わり方を歯車に例えたところ。
(どうやったら私のはまわるんだろう?)
図1


そして、ラスト。「先輩が失踪を遂げた」後のエピローグの3コマ目はすんごい映像的。
特に躍動感ある絵とかではないけれど、頭の中で勝手に再生される。


そして構成とかセリフはすごく小説的。
平坦な日常もののようだけど、「起結」がしっかりされていて心地いい。

し、ゆるやかに続きが欲しい感覚の読後感が残る。



「ネムルバカ ぼくはまだ大丈夫?
答えづらいだろうから今聴いてるんだよ」


あと、これだけゲロはくヒロインも珍しい。
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( 2010/12/25 10:50 ) Category | TB(0) | CM(0)
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